"relkin" -- Relativistic Kinematics (2-body) 名前の通り、二体反応の相対論的な運動学の計算プログラムです。 内部に質量テーブルを持っているので、反応式とエネルギー・角度情報 を与えるだけで、手軽に使えます。 オリジナルは Texas A&M で書かれたものですが、以下の変更が加えられ ています。 ・質量偏差のテーブルを新しいもの[1]に更新しました。 オリジナル版の多くの入力間違いが訂正された他、重元素の幾つか (100=Fm, 101=Md, 102=No, 103=Lr, 104=Db, 105=Jl, 106=Rf, 107=Bh, 108=Hn, 109=Mt, 110=Xa, 111=Xb) や、10He 等の新しいエントリが増え ています (使う機会が有るかどうか不明ですが)。 ところで案外知らない人が多い様ですが、質量数無しのアルファベット N, P, D, T, A は各々 Neutron, Proton, Deuteron, Triton, Alpha と して使う事ができます (ただし P に関しては、旧版はバグってました)。 ・残留核の指定を省略可能にしました (例えば "12C(d,p)" 等)。その際に 電荷と質量の保存から期待される元素名を反応式に補うようにしました。 ・入力をインタラクティブにしました。大文字小文字の区別もしません。 その結果、散乱粒子は fully stripped である事が仮定されています。 charge-state を与えたい方はソースの最初の部分を変更してください。 ・散乱角度の 0゜が計算できないバグを直しました。 ・Reaction threshold 計算のバグ (符合間違い) を直しました。 ・-n オプションによってヘッダを出さないようにしました。 Topdrawer[2]等、他のプログラムと組み合わせる場合に便利です。 ただし VMS 版では使えません (※)。 ・2He (= 2-proton) を指定可能にしました (個人的趣味)。 [1] G.Audi & A.H.Wapstra NP A595('95)409. ftp://csn-hp.in2p3.fr/pub/AMDC/mass_rmd.mas95 [2] Topdrawer 5.12 enhanced release ftp://iris.riken.go.jp/pub/topdrawer/ Release 1.4a 以降では、pseudo pipe 機能を使って set order x dum y dum dum dum dum dum dum dum dum dum set file input=\ "|echo -e '12C(d,p)13C\n270\n0,20,1\n0\n'|relkin -n" join 等と言う形で内部から relkin を呼び出し、描画する事ができます (一時ファイルを作る必要が有りません)。 質量偏差を求めるサブルーチンは "mass.f" というファイルに分離し、 他のプログラムからも使えるように便宜を図っています。エントリは SUBROUTINE MASS(M,EXCES,ERR,MZ,N,*) C 入力 CHARACTER M(*) ! 原子名 (例えば '197Au') C 出力 DOUBLE PRECISION EXCES ! 質量偏差 (MeV) REAL ERR ! 誤差 (keV) 単位と精度の違いに注意 INTEGER MZ,N ! 原子番号、中性子数 となっています。データも全て "mass.f" に含まれています。 M が空白であった場合、MZ,N から指定される質量偏差が求められ、 元素記号が M に返されます。 ※ 本プログラムの実装は UNIX 上での動作を強く意識したものとなって いますが、VMS でも一応は実行可能です。MMS (または MMK) で実行 形式を作成する為の DESCRIP.MMS も用意しました。ただし質量偏差 のデータから mass.f を作成する部分は sed を使用しているので、 VMS ではサポート外とさせて戴きます。また、VMS では標準出力の リダイレクトは出来ないので、結果出力先ファイル名を引数で指定 するようになっています。その際、 $ RELKIN == "$RELKIN_DIR:RELKIN" のようにシンボル指定されている事が必要です。ファイル名を指定 せずに起動した場合のデフォルトは "RELKIN.DAT" となります。 --- 岡村弘之 東京大学理学部物理 okamura@timshel.riken.go.jp